私たちの身体は食べ物でできています。
東洋医学的に言うと、生まれ持ったエネルギーを“先天の精”、自分で食べ、消化吸収して活動や体温維持などのエネルギーをつくったり、皮膚や筋肉などの細胞をつくったりするもとを“後天の精”と表現し、脾胃(胃腸の働きと代謝機能)に恩恵を受けており、これらを分けて認識しています。
元々の遺伝要因などは先天の精といえるかもしれませんが、その後の身体をどのように維持するかは後天の精にかかわってきます。
肉体的な疾患はもとより、精神的な変調も五臓六腑の気血水の偏りによることもあると考えます(内傷七情)また、『医食同源』という言葉がありますが、約3000年前の周代には食医・疾医(内科)・傷医(外科)・獣医の区別があり、食物で病気を予防、治療する医師が名医であるとされていましたし、後漢の頃の『金匱要略』には「上工(名医)は未病を治す」とあります。まさに医療の根本には“食“があるのです。
この研究会では、『医食同源』から学ぶ“食”のありかたを、東洋医学的薬膳の知恵、和食の知恵、そして西洋医学的に発展した“分子整合栄養医学(オーソモレキュラーメエディシン)を融合させ、東洋医学的に体質や四季の変化(六淫)を見極めた上で”食“を取り入れていく方法を考えます。
しかしながら、これらは結局東洋医学で重要視されている脾胃の力を安定させるものであり、腸内細菌がビタミンやホルモンを作る環境を整えることでもあります。ぐるっと回って腸へ効かす、そして食べたい物が身体が欲する物である“まことある食事”を叶える身体づくりになることを願っています。
薬膳栄養学研究会 会長 中本 かよ