約3000年前の周代には食医・疾医(内科)・傷医(外科)・獣医の区別があり、食物で病気を予防、治療する医師が名医であるとされていました。また、後漢の頃の『金匱要略』には「上工(名医)は未病を治す」とあります。病気を予防するという考えと伴に“食”をいかに重要に考えていたかが伺えます。中医学の古典である『黄帝内経素問』には、「強い毒性をもつ薬は、病の10分の6を除くがそれ以上服用してはいけない。中程度の毒性をもつ薬は病の10分7を除くがそれ以上服用してはいけない。弱い毒性をもつ薬は病の10分の8を除くがそれ以上は服用してはいけない。毒性のない薬でも病の10分の9を除いたらそれ以上は服用する必要はない。それ以降は穀物・肉類・果物・野菜などを食べることにより気を調え養って、正常な気を回復させ邪気を除いてゆく。」と述べられています。
また、元気(=原気:気の元)は肺気・胃気・腎気の3つによってつくられ、食べるための胃の力と食物は肺気や腎気をも助け、元気の源としても重要です。
食物には五気(寒性・涼性・温性・熱性・平性)、六味(酸・苦・辛・甘・鹹・淡)があり、その配合によって五臓(肝・心・脾(小腸)・肺・腎)を助ける効果があらわれます。
食の安全が問題になる昨今ですが、ビタミン剤のみでは補いきれない身体の調和を医=食の面から再度考え直したいものです。財団のホームページでは薬膳の考え方や簡単なレシピを発信しています。