Q1. 知人と同じ病気なのに違う漢方薬を処方されました。どうしてですか?
A1. 同病異治という考え方。
同じ病気(病名)でも、病気の状態、深さ、重傷度、熱の有無(全身、局所)などによって
漢方薬がかわります。
また、個人個人の体質を考慮した上で治癒に導くため、体にあった治療法を選択することも理由のひとつです。例えば腰痛を考えると、炎症のある場合は局所熱(炎症)を和らげる漢方を、また冷えによる場合は下半身を温める漢方を、また血液循環が悪く瘀血をきたしている場合は血液を流れやすくし、循環改善する漢方薬を選択します。
このように体質や病気の状況を考慮し"証"を考えることによって治療方針を決定するため、同じ病気でも違う漢方薬を処方されることが多く見られます。これを同病異治と言います。
病気とからだの組み合わせの数だけ漢方処方があると考えても過言ではありません。
Q2. 知人と違う病気なのに同じ漢方薬を処方されました。どうしてですか?
A1. 異病同治という考え方。
違う病気(病名)でもその成因、体質によっては根本治癒に導く方法が同じ場合があります。
例えば頭を締め付けられるような頭痛と回転性のめまいを考えてみましょう。
頭痛やめまいにも様々なものがあり、ここでは「締め付けられるような」と「回転性」がポイントになります。
実は、この「締め付けられるような」頭痛と、「回転性」のめまいは体の水分代謝に密接に関係しています。
胃腸からの水分の吸収代謝、腎からの水分代謝などとリンパの流れ、血液循環など、体内の動的要素ともからみ同じ水分代謝の停滞という成因から「頭痛」と「めまい」という違う症状を起こします。
治療には水分代謝を改善する漢方薬が処方されます。このように一見違う病態でも成因やそれを起こす体質が似ていれば違う病気であるにも係わらず同じ漢方薬が処方されることがあります。これを異病同治と言います。
このように、病気とからだの組み合わせの数だけ漢方処方があると考えても過言ではありません。
Q3. "邪"とはなんのことですか?
A1. "邪"の"牙"は食い違った組み木のからみあったさまを描いた象形文字です。食い違い、正道からはずれた、ねじけているという意味です。邪には外から受けるもの(外邪)と体内から生じるものがあります。
漢方理論では自然の変化に従って生活することが健康のもととなると考えていますが、気候の変化によって体のバランスを崩す(食い違いを生じる)こともあります。
例えば、夏の終わりに急に涼しく空気が乾燥して咳カゼをひくということがあります。この場合は寒邪、燥邪を受けたと言うことになります。しかし全ての人が同じ症状を起こすことはありません。体調や体質と環境因子の"食い違い"は個人によって受け方が違います。
体内から発生するものは、体質や食生活と関係します。
味の濃いものや脂物を多くとると代謝しきれずに不純物をため込み痛風や動脈硬化の原因となります。漢方的には"痰飲""瘀血"と言います
自然の変化に従って生活することが健康のもと
Q4. 果物はたくさん食べてもよいのですか?
A1. やはりほどほどがいいでしょう。
とくに、果物は体を冷やすものが多いため、寝る直前にはあまりとらないようにしましょう。また、空腹時に食べるよりも食後がおすすめです。
果物には消化酵素が含まれるものが多いからです。また、糖分、水分、ビタミン、電解質が豊富なので夏には欠かせませんが、胃腸を冷やさない程度に気をつけましょう。
中国四川省では四川風の辛い味付けの際、口の中の辛みをとることと津波を補うよい水分ということで夏は食事中にスイカの絞り汁を飲みます。
しかし決して冷えた果汁が出てくることはありません。
果物は空腹時に食べるより食後に食べる方が体によい
Q5. 食材の五気とは?
A1. 食材や生薬のもつ寒・涼・温・熱・平の五つの性質のことです。
寒(すいか・ニガウリなど)・涼性(大根・キュウリなど)のものは、身体を冷やし熱を取り毒や便を出しやすくします。
涼性は寒性のものより作用がおだやかです。温(生姜・ネギ・エビ・鶏肉など)・熱性(唐辛子・胡椒・シナモンなど)のものは身体を温めたり気血の廻りを良好にします。
平性(キャベツ・とうもろこし・いもなど)のものは、食材やからだの陰陽を調和させます。潤す性質ものには涼性のものと温性の両方があります。季節の変化や体調によって使い分けますが、偏りを防ぐことも大切です。
Q6. 食材の六味とは?
A1. 食材のもつ酸・苦・甘・辛・鹹(塩辛い)・淡の六つの味と性質のことです。
六味の効用は、五臓の働きと大変関係が深く、五臓のバランスをとるためにも大切です。
酸味(梅・杏・酢など)は肝(漢方的)に作用し、気を引き締め汗をかきやすい状態や慢性の咳にも用います。苦味(ニガウリ・くわい・アロエなど)は心(漢方的)に作用し、高血圧や熱のこもった状態に用います。
甘味(穀物・果物・蜂蜜など)は脾(漢方的胃腸)に作用し、疲労回復や虚弱体質に用います。辛味(生姜・ネギ・大根(甘辛)など)は肺(漢方的)に作用し、身体をあたため、気血の廻りをよくし、カゼの初期にも用います。
鹹味(昆布・海草・エビなど)は腎(漢方的)に作用し、塊を柔らかくしたり血液中の鉄分を補い、便秘や貧血に用います。
淡味(白菜・冬瓜・白キクラゲなど)は五臓に作用し、胃腸の働きを整え湿を取り除く作用があり、小便不利や便秘/下痢と言った消化機能が不安定な場合に用います。
本能的に欲することも多いですが、個人個人の嗜好から偏りがちになることも多く、偏ってしまった場合は過剰な作用となり五臓のバランスを乱す恐れがありますので気を付けましょう。