東洋医学の考えの根本の一つと言える"易経"は占いで知られることが多いですが、実は天地の理から森羅万象の基本を説いており、自然哲学や人道学にも応用できるものです。
著書については明らかではありませんが、伏羲が陰陽を唱え、周の文王が本文を記し、孔子が十翼という解説書を書いたと言われています。
そしてまた、『宇宙』という言葉の根源も古代中国にあると言われています。「宇」は「天地四方上下」(空間)、「宙」は「往古来今」(時間)とし、自然界を時間と空間の結合であると既に説いています。自然界全体を『宇宙』とし、人体をその一部と考え『小宇宙』とする考えは古代から自然変化と共にあるのです。その中で変わらないもの、たとえば自然界では太陽と月、人体では人体を構成する気血水や五臓六腑の働き、それ自体は変わりません。しかし、年代や四季の変化又はストレスなどの環境の変化(時間・空間)でその働きや状態は変化します。その変化によって様々な自然現象や病態が生じると考えられます。
変化するものを易経では"易"、変化しないものを"不易"とよび、これらの緊密な関係を分析することで自然界の状態を把握します。
身体や心は変化するもの、しかしその成り立ちや機能は変わらないはずです。変化しないものをしっかりと捉え、変化に応じることが健康を維持することになると考えています。
易・不易を理解することで、変化を恐れず対応できる身体を健康と呼ぶのではないでしょうか。