東洋医学では心身の状態を考える際、必ず自身の身体と周囲の環境の相互作用を考慮します。
例えば、「花粉症」の時、どんな身体がどんな環境に遭遇したか?で症状が変わります。同じスギ花粉に被粉しても、冷えやすい身体や環境では『透明な多量の鼻水』に、何かが原因で熱をこもらせやすい身体や気温上昇・乾燥時は『黄色の鼻汁・鼻閉』になりやすいのです。
他の疾患も同様に、実感している症状は一部で、それの根を、原因を考えることが健康を取り戻すためには重要です。原因を探るのは西洋医学でも東洋医学でも同様ですが、病原・体質・環境(心理状態を含む)の多次元で考えるのは東洋医学の特徴です。何かの症状が心身に現れた際、それは心身からのサインであると考えてみてください。そうすると、病因は外部にあるだけではなく、自分自身の内面にもあることに気付かされます。いわゆる"体質"と考えられることも少なくありませんが、東洋医学では知らずの生活習慣から作ってしまった状態を『伏病』と言い、それを体質と勘違いすることもあります。
病状は漢方的診察で多次元的原因を探り、漢方処方や鍼灸治療で改善に導きます。これは『他力』です。そして生活習慣を改め、伏病を作らず、自分自身の『自力』エネルギーを活用することも健康には大変重要で必要なことです。『自力』実践の一つとして、当院では3年前より『足助式医療體操協会』を併設し、東洋医学の概念に基づいた体操を実施しています。
現代の医療は『自力と他力』を見据える時に来ています。