東洋医学の歴史は感染症対策の歴史とも考えられます。
葛根湯や麻黄湯など聞き覚えのある処方は後漢時代末期の200年前後に書かれた『傷寒論』に記載されています。「ゾクッとしたら葛根湯」「インフルエンザに麻黄湯」など市販薬もあり、皆さんも手にされたことがあるかもしれません。いち早くいわゆる風邪(かぜ)症状に気づき、寒邪(かんじゃ)や風邪(ふうじゃ)を身体を温めることで退散させる処方です。市販薬は軽めに処方されているため副作用は少ないかもしれませんが、本来は煎じ薬で用い、刻々と変化する病状に対応するものでしたので間違って服用すると誤治の症状となりかえって病気を重くしてしまうこともあったようです。
昨年から猛威を振るっているコロナウイルスですが、東洋医学的には「瘟疫(うんえき)」と解釈しています。「瘟疫」の意味は、「高熱を発する流行病」です。東洋医学では、まず寒さに犯されて病気になることを説いた『傷寒論』が記され、その後に温熱病毒によって犯される病態を温病とし区別しています。特にコロナウイルス感染症は“疫”とされ、ただの温病ではなく温疫、しかも高熱を出す(病邪が重い)瘟疫です。温病は一人一人の病態、それが大きく伝染するものを疫病としており、区別されます。紀元前300年頃に書かれた最古の教科書とも言われる『黄帝内経』には「五疫の至るは皆染まりやすく、大小問うところなく病状相似る」と既に伝染病について書かれており、それに対しての養生法も残っています。
特効薬やワクチンだけに頼らず、まず自分自身の状態を整えておくことが最重要です。コロナウイルスは水質代謝と関係するACE受容体に結合します。冷飲食や甘いもの、油物を控え胃腸を整えておきましょう。