節分には恵方巻きを食べるご家庭も多いかと思いますが、鰯を食べる方はそれに比べると少ないかと思います。
西日本では恵方巻きと同様に鰯を節分に食べる習慣があります。ヒイラギの枝に鰯の頭を刺して家の門前にさして、邪気を払う習慣から来たと言われ、鰯の臭いとヒイラギのトゲで鬼を追い払う意味があるそうです。
暦の上では節分の時期は春の始まりである立春と重なります。春は植物が芽を出し、生き物の活動が活発になるように、暖かくなれば人間も体が活発に動くようになります。節分に、エネルギーを補い血の巡りを良くして体を元気にする鰯を食べるようになったのは、冬から春への季節の変化に順応していく為の知恵なのかもしれません。
【 種類 】
真イワシ・ウルメイワシ・カタクチイワシなど
加工品としてちりめんじゃこ・丸干し・つみれなど
【 性味 / 帰経 】
温・甘 / 脾
体を温める作用と、脾(胃腸)の働きを良くする作用があります。
【 働き 】
補益気血・
活血・
明目
体の気力と血を補いながら(補益気血)血の巡り(活血)を良くしていきます。
中医学では「久視傷血」(物を見続けて目を使い過ぎると血を傷つける)という言葉があります。現代では、パソコン・テレビ画面を長時間見て目を使いすぎると血を消耗し、目がかすむなどの症状がでます。鰯には消耗した血を補う働きがあり、疲れ目に効果があるといわれます。(明目)また、活血作用により、動脈硬化、血栓の予防など、いわゆる「血液サラサラ」効果があるともいわれます。
【 注意 】
背中が青い魚は、薬膳では「発物」と言い、喘息や皮膚疾患を悪化させる可能性がある為、大量の摂取は控える。また、油分が多い為、高脂血症の人、プリン体が多量に含まれる為、高尿酸血症の人も大量に摂取しないように注意。
【 調理方法 】
刺身、焼き物、 煮物、揚げ物など
生臭さを消す為に、生姜、葱、紫蘇、梅干、味噌、 酒などを使い調理するのが良い。
特に生姜・葱・紫蘇といった薬味は香りがあり、気の巡りを良くして鰯の効能をより高めます。
鰯は漢字で表されるように、鮮度の落ちやすい魚です。できるだけ身が締まり目が澄んで綺麗なものを選びましょう。うろこが付いているとなお新鮮です。
【 栄養成分 】
たんぱく質・タウリン・亜鉛・ビタミンB2・D・E・カルシウム・鉄分・不飽和脂肪酸(EPA・DHA)などが特に多く含まれ、高血圧・視力低下・骨軟化症・骨粗しょう症・貧血・動脈硬化・脳卒中・血栓症の予防に適している。
【 調理例 】
鰯の煮物
鰯は頭と内臓を取り、酢水で洗う。鍋にだし昆布を敷き、だし汁(水・しょうゆ・みりん・砂糖・酒)を煮立てたら、鰯、薄切りにした生姜、梅干を入れる。弱火で、ゆっくり煮あげて完成。
参考 薬膳素材辞典 源草社