春は五臓六腑のうち肝の働きが盛んになる季節と考えられています。
中医学では肝=木に例えられ、春に木々が芽吹き伸びやかに枝葉が成長するように体も気温の上昇に伴い代謝や生理機能が活発化します。精神・情志の活動も活発になり時には興奮状態になったりまたは活動が妨げられると(ストレスなど)気鬱になったりします。
五月病などはその例です。
春には新鮮な野菜が豊富に出回ります。ビタミンやミネラルも豊富に含んでいます。
春野菜を上手に摂って心身ともに伸びやかに過ごし夏へ向かうからだの調子を整えておきましょう。
【 別名 】
甘藍・巻心菜・包心菜
キャベツの中心には発芽する部分があり、収穫せずに置いておくと、キャベツの葉が割れてきて発芽し、菜の花のような花が咲きます。
【 旬 】
春と冬
春キャベツは葉が柔らかい為サラダ等の生食、冬キャベツは比べて葉が硬い為、熱を通す調理法がお勧めです。
【 性味 】
平・甘
平性(温めるのでも冷やすのでもない中間の性質)で体質に関係なく使用でき、味の性質は甘に属する。中医学の考え方のひとつに「五行説」がありますが、これによると自然の甘みのある食材(例:さつまいも・かぼちゃ)や、「味」(味の性質)が「甘」とされる食物を適度に摂ることは、「脾」(=胃腸)の気力をつけ、調子を整えるとしています。
【 帰経 】
胃・腎
胃と腎の働きを良くする作用がある。特に胃の働きを高める。栄養学的にもビタミンU(別名キャベジン)は胃粘膜の働きを整える作用がある為、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の予防・改善効果があるといわれています。
【 働き 】
補益脾胃
症状例:脾胃虚弱 疲れ 胸焼け 胃痛 食欲不振など
胃は「通降を主る(つかさどる)」働きがあり、食べ物を受け入れて消化を行い、小腸・大腸に下降させます。この機能を「胃気」と表現し、キャベツはこの働きを良くします。また、脾胃(胃腸)は、栄養を吸収して「気」という体に必要なエネルギーを作りだす役割があり、胃腸の働きを良くすることで体全体の気力が高まります。
【 栄養成分 】
ビタミンC・K カルシウム・カリウム・食物繊維・ビタミンU・がん抑制物質(インドール・ジチオールチオニン・フラボノイドなど)
栄養成分を効率よく摂取するためには生で食べるか、汁ごと食べられる調理法がお勧めです。また、キャベツの表面の硬い葉も炒め物やスープなどで火を通して食べると良いです。(キャベツの表面の葉には栄養成分が多いと言われている)
【 禁忌・注意 】
ビタミンC・Uは水溶性で、切ったものを水にさらすとビタミンが流出しやすい為、葉を一枚ずつ剥がして洗い、調理しましょう。
【 調理例 】
春キャベツと新じゃがの簡単スープ
旬の野菜をたっぷり摂りいれて体の調子を整えましょう。
(レシピ)
- じゃがいもは皮を剥き・食べやすい大きさに切っておく
- 春キャベツは葉を一枚ずつ剥がして洗い、食べやすい大きさに切っておく。キャベツの芯の硬い部分も捨てずに薄く切っておく。
- じゃがいもとキャベツ(芯の部分)を煮て、軟らかくなってきたらコンソメ・キャベツ(葉の部分)を加えて軽く火を通す。
- 塩コショウで味を調えて出来上がり
(応用) : 胃腸の働きを補う味噌を使ってお味噌汁としても。
※じゃがいもの薬膳的効能
(働き) : 補気健脾 和胃通便
胃腸のエネルギーを高めて働きを良くする。便通を整える。
(症状例) : 胃痛・吐き気・嘔吐・便秘など
国際中医薬膳管理師 福山 真美代
参考 薬膳素材辞典 辰巳洋 主編 / 東方栄養新書 梁 晨千鶴 著