2008年1月7日
患者さまに真に喜んでいただける診療を目指して…
- おめでとうございます。新年の抱負からお聞かせ下さい。
「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。
新年の抱負ですが、私たち診療所員一同がなすべきことはいつも患者さんに納得していただける医療をご提供することで、新年になってもこれは変わりません。
お一人お一人の愁訴を聞き、証を見定める漢方医学の特徴であるオーダーメイド治療をより充実したかたちでご提供できるよう、スタッフ一同取り組んでまいります。どうぞよろしくお願いします。」
- 最近、漢方薬を取り入れる西洋医学のお医者さんが増えていると聞きましたが。
「”やっと漢方のよさが理解されてきたか”というのが実感です。漢方医学は中国から伝えられた伝統医学ですが、医学の社会的な流れは蘭学の伝来とともに西洋医学一本となり進展しました。その間も伝統医学のよさを伝え続けた医者たちのおかげで、漢方独特の効果が再度脚光を浴び、昭和51年より保険治療が適応となり、またエキス剤という煎じる手間の省けた剤形も確立されました。しかし、長い間、西洋医学の中に取り入れられることが困難だったため、皮肉にも漢方的には当然の効果も西洋医学的には”意外な著効例”などと認識されることが増えるにつれ、西洋医学的解明も進んできています。
”エビデンス漢方”という言葉も生まれています。これは漢方の効果を症状別に分析したものです。こんな症状にはこの漢方が効果的であると統計的結果を表したものですが、本来の漢方医学では”個々の証を診る”ことが一番重要なことですので、われわれは四診、すなわち望診(顔色、患部、舌を見る)、聞診、問診、切診(脈や腹部を接診する)を重要視しています。例えば、鼻水だけでも場合によっては五臓六腑のからくりを考慮した証のとらえ方が必要な場合があります。」
”日々進歩する漢方医療 時代の変化にとても敏感な医療です”
- 漢方は古い薬と思いがちですが、そうではないんですね。
「漢方は漢方医、研究者の間で日々進歩しています。それは私たちの社会の変化をみてもわかります。昔はよく分からなかった病態がさまざまな検査などで明らかになってきており、それを漢方的に考えるとどういうことか、ここに漢方臨床家の目と研究者の目が働き、漢方的解釈や薬効が徐々に明らかになっています。メタボリックシンドロームや、認知症に対する効果はその代表でしょう。また、最近は冬の暖房、夏の冷房は当たり前になりましたので、冬に夏っぽい病気が流行ったり、逆に、夏を冷えた環境で過ごして汗をかかず冷たい水分を体内に閉じこめたまま秋冬を迎える人が少なくありません。伏病といって病閉じこめてしまいます。時代の変化に対応して、よく患者さんの生活習慣を聞いて、身体全体が今どんな状態にあるか調べた上でその歪みを正し、バランスのよい状態に導く薬を処方することが非常に重要です。漢方は時代の変化にとても敏感な医療なのです。」
- 診療所の検査機能が充実しました。
「漢方医学的には四診によって体の状態をとらえることが大切ですが、患者の訴えによってはもっと正確に把握するため検査機器を使用しますし、その機器が当診療所にない場合は然るべき病院を紹介して検査していただきます。漢方医だからガンをみつけるのが遅れたでは通りません。
当診療所では、心臓エコーと頸部動脈エコーを導入し専門に扱うスタッフを配置し本格的に稼働させています。最近は糖尿病、メタロボリック系、心疾患の患者さんが増えているからです。的確な証把握のためにも効率のよい治療のためにも検査体制の充実を心がけています。」
-診療所体制も充実してきました。
「診療所を5部門に分けて体制を整備しました。それぞれの部門がプロ意識を持ち、横の連絡を密にすることで、診療所全体を機能的に動く体制にしました。
具体的には、
(1)診療部
(2)鍼灸部
(3)看護部
(4)薬剤部
(5)受付事務です。
当診療所で10年以上のキャリアを積まれた人が増えてきました。そういう人が各部門で存在感をアピールしてくれますので、患者さんに喜んでいただけると期待しています。」
- スタッフの能力向上にも力を入れておられる。
「今スタッフの勉強会をしています。どうしたら患者さんに喜んでいただけるか、みんなで話し会っています。また新薬が出ればメーカーの担当者を呼んで開発の背景などを教えてもらっています。最後に新年にあたりまして、診療所が日々進歩できるようさらに努力したいと思っておりますので、ご指導の程をよろしくお願い致します。」