2010年1月1日
『漢方・健康フェア』~豊かな長寿社会を生きるために~を開催しました。
- 開催日時:
- 平成21年12月5日(土)午後1時~3時半
- 会場:
- ホテル・プリムローズ大阪
- 主催:
- (財)大阪漢方医学振興財団
- 後援:
- NHK大阪放送局、大阪南医師会
- 内容:
- 第1部 :トーク
第2部 :Q&Aコーナー
第3部 :ヒーリングミニコンサート
第4部 :鄧伝八段錦の実演
第1部トーク
中本理事長が“今伝えたい漢方の魅力―漢方医の診療室からー”をテーマに講演、来場者は中医学の奥の深さ、漢方の薬効の話にしばし聞き入りました。広い会場は漢方ファンで埋め尽くされ、後方には立ち見の方もおられました。
第二部 Q&Aコーナー
当日のお客様に人気のあったQ&Aコーナー。コーディネーター役を小林先生が、主として漢方の基本をテーマにした質問を伊藤先生が、診察室で質問されるような質問を中本先生がそれぞれ担当されました。会場からは“もうちょっと時間があったら・・”の声も。
第三部 ヒーリングミニコンサート
中国の伝統楽器二胡と揚琴によるミニコンサート。会場内の照明が幻想的な光の帯に変わりそれが流れ出して中国、日本の名曲を聴きながらしばし時を忘れました。
第四部 鄧伝八段錦
中国の伝統楽器二胡と揚琴によるミニコンサート。会場内の照明が幻想的な光の帯に変わりそれが流れ出して中国、日本の名曲を聴きながらしばし時を忘れました。
第1部 トーク 中本かよ(佳代子)先生講演要旨
今伝えたい漢方の魅力―漢方医の診療室から―
陽気とは 今まで診療室では病気に直接関係した質問が多かったのですが、最近は“元気で長生きするには”と言った健康に関する質問が多く聞かれるようになっています。患者さんの関心が病気だけでなく、広く健康に向かっていることが分かります。これはピンポイントに一つの病気に目を向けるのでなく体全体を診る漢方にとっては非常によい傾向だと思います。漢方医療を民間療法と見ず、医学という面から見直していただき、ご自分の体の健康のためにご活用いただきたいと思うのです。
よく免疫力と言う言葉を耳にします。漢方で言いますとそれは“陽”と“気”になります。“陽気”これは太陽から受けるエネルギーにも似た力で、誰もが持っているものです。生まれたばかりの赤ちゃんはまだ何も食べていないのに温かい体を持っています。それは父と母の両方から陽と気をもらっているからです。赤ちゃんはその後、ミルクを飲んだり食べたりして自分自身で陽気を作りだしていくのです。この陽気を安定して保つことが免疫力につながります。
漢方には望診、聞診、問診、切診と呼ばれる四つの診察方法があります。望診は患者さんの容姿、立ち居振る舞い、体は細いか太いかなど体の状態を診ます。舌診もこの望診の中に入ります。聞診では患者さんの訴えを聞きます。この時、聞くだけでなく匂いや咳の状況、声の質、鼻水まで診ています。問診では、例えば患者さんが“足が冷えます”とおっしゃると“足の甲と裏のどちらが冷えますか”などさらに詳しく聞き、冷えや病邪の侵入ルートをさぐります。切診は実際に患者さんに触らせていただいて診断する方法です。
舌診ですが、これは西洋医学の診察ではあまりしません。初めて漢方の診察室に来られた患者さんは“舌を出してください”と言われるとひどく恥ずかしがられます。ペロッとちょっと出されますが、診療室ではお構いなくベロ~と出してください。私たちは舌を診て正気の判断をしています。正気と言うのは体の良い状態を言いますが、体が良い方向に向かっているのか悪い方向に向かっているのかも診断します。病気の深さ、軽い重いも舌を診て判断します。例えば、腰から下が冷えている人は舌根部に白いこけがつきやすく、舌の中央部にこけがつきやすい人は胃腸の働きが停滞していることなどがよく知られています。
脈診は切診の一つですが3点でとります。左右で診ている箇所は違い、左側で心、肝、腎を診て、右側では主として胃腸系と肺を診ます。左右でかなり脈の違う方が多く、特に左側の脈が細くて沈んでいる方は脈の流れが滞りやすく、血液の流れが悪く、冷えたり肩こりを起こしがちです。右の脈に力がない方は胃腸が弱くなりやすくむくんだり下痢を起こしやすいのがよく見られる症状です。
漢方の薬膳の中には五気六味と言う考え方があります。五気というのは寒、涼、温、熱、平のことでおおよその食事はこの5つに分類されます。六味は酸っぱい、苦い、甘い、辛い、塩辛い、淡の6つです。薬膳的には、これらをうまく摂取することが「バランスの良い食事」と考えています。偏ってしまうと臓腑のバランスを崩すことになります。
当診療所では鍼灸治療も行っています。診療所ではそれぞれの分野で専門の医師が、患者さんを直接診断し、客観的にお体の状態を把握し、何がどのように調子を崩しているのかを提示させていただいており、漢方薬、灸、鍼などお一人お一人に合わせた治療を行っております。皆様のご健康に役立ちたいと願っております。
これから寒い冬を迎えます。どうか体の芯を冷やすことなく、元気にこの冬を過ごしてください。 本日はありがとうございました。