理事長 中本 佳代子
新年あけましておめでとうございます。年頭にあたり「気」のお話をしたいと思います。
『気』と聞くと、精神的なものやこころの動きを連想することが多いかもしれませんが、一方で“病気”や“空気”“気力”など実態をもつものの表現も多く、こちらが中国医学の基礎となっています。
『気』は不可視であり、流動的で運動し作用をおこします。中医学では『気』の運行によって五臓や十二経絡、血の運行を連動させ、これにより生命活動は止まることなく行われ無病の状態を保つとしています。
特に中気と言われる胃腸の気は重要で、中気は生命の軸とも考えられています。摂取した飲食物が代謝され“精穀の気”となり筋肉・血管・脳細胞などの再生にかかせない『気』となっています。しかしながら『気』は停滞すると病理産物を形成しやすく、これが動脈硬化や腫れ・痛み、吹き出物などの原因となります。また、五臓の一つである“心”の気も停滞してしまうと、心理状態が不安定になったり不眠や胸苦しさを引き起こしたり、疲れやすい、気持ちが不安定になりやすいなどの症状になります。
『気』の運行には『陽』が必要であり、『陽』は生命維持の根源です。四季の移り変わりと伴に『陰』『陽』の変化がおこり、夏至が『陽』の極致、冬至が『陰』の極致となります。
『陰』の極致から『陽』が芽生える年末年始はまさに新たな『陽気』の生まれる生まれ変わりの時期なのです。
新たな年の始まりに『気』を見直してみませんか?