龍は神獣・霊獣であり伝説上の生き物で、特に守り神として歴史的に馴染みがあります。天文学的な背景からも四方を守る神として四神が対応づけられており、東方を青竜・北方を玄武・西方を白虎・南方を朱雀と呼びます。龍は天文学と五行論から「陽」「東」「春」「青」を表すとされ、また、四神肖では川や湖に棲み治める守り神ともされます。漢方薬でも小青龍湯や大青龍湯というように“青龍”の名をもつ処方があります。特に小青龍湯は鼻水(水)を治す薬の一つとして有名です。
龍は三棲します。深淵に潜み、地上を行き天に昇ることができ変化が予測できない性格を具えていると考えられています。このことから龍は天道の変化や陰陽の消長などを表現しますが、生体でも同様に龍に喩えられる生体の根本エネルギーがあります。これは“真陽”と言われ、体内の奥深く(漢方的腎=水)にてエネルギーを具えた状態でなくてはなりませんが、生態環境が乱れるとその位置に安住できなくなり、水と共に身体の上方へのぼり鼻水、異常な汗、めまい、痰などの病状を表すことがあります。気候変動でおこる竜巻や大雨、洪水の被害…どこか調子を崩した生体の鼻水やむくみ、めまいに似ていませんか?
漢方医学ではいわゆる体質改善を行う中、何故体内で水の代謝バランスが崩れたかを考え身体のしかるべき奥底で密かに龍(真陽)がエネルギーを持ち続けてくれるよう治療をします。このことが本質的な陰陽を安定させ、健康に導いてくれます。