2013年3月13日
"花粉に排気ガスなど有機化合物が合わさり、強いアレルギー症状を発症したりします"と話す中本先生
環境の変化が激しくなり、それに応じて色々なアレルギーが生まれています。急に涙が止まらなくなった、顔が腫れたなど症状は様々ですが、原因は私たちの生活を便利にしてくれている新技術にアレルギー反応を起こしている場合が少なくありません。今、急増しているアレルギーについて中本かよ(佳代子)先生に聞きました。
■アレルギーは免疫過剰状態
—アレルギー症状というのは。
「一言で言えば、免疫過剰状態です。免疫というのは生体防御の力ですね。異物が体内に入ると、私たちの体は防御してくれますが。この力が一部過剰になっている状態がアレルギーです。過剰な防御、または、反応しなくてもいいものにまで反応してしまう症状です」
—アレルギーになる人が増えているそうですが。
「増えています。環境の変化によって因子となるものが増えたり生活スタイルが変わってきているからです。例えば、外的要素としては花粉があり、これに排気ガスなど有機化合物が合わさり、強いアレルギー症状を発症したりします。生活の中に新技術が入ってきていますが、便利なものほど、同時にアレルギー反応を起こす因子となることもあります」
■人間にいい環境はダニにもいい環境
—ダニで起こるのもアレルギーですか。
「そうです。新技術で住まいの密閉度が高くなった結果、人間にはいい環境ですが、ダニにもいい環境で(笑)住みやすいのですね。洋風化で畳の上にじゅうたんを敷かれるお宅が増えていますが、本当は、フローリングの方がいいのです。
フローリングで雑巾掛けをするとダニの死体や糞の90%以上がとれると言われています。畳の上にじゅうたんでは、たたみにも潜むし、じゅうたんにも潜みますので、二重使いするのが一番よくありません。
死骸、糞が一番増えるのは秋です。年末のみの大掃除よりも、一旦秋に大掃除をすることをお薦めします。ダニ対策としては有効です。秋に大掃除をしていただいて、もう一度、軽く年末にしていただくのが一番よいですね」
■旬の食材を食べるのが体によい
—周りはアレルギーの原因だらけ。
「中国から飛んでくる黄砂も、中国での建設、開発がすすんできて、向こうの有機物をまとって飛んできます。化学的な物質による過敏反応が強いようで、ハッキリ"これは黄砂だ"とおっしゃる方がおられます。黄砂はアレルギーの出方が特徴的で、のどや目がちかちかするんですね。開発が進んでからのアレルギーは刺激性が強くなっています」
—体内を冷やすことがアレルギーによくない。
「生体防御反応を調節できなくしている、ということです。人間は旬の食材を食べることが一番体によいのです。冬なのに、野菜だからと言って、キュウリ、トマトのような夏野菜ばかり食べていると、体内を冷やしてしまいます」
—アレルギーを調べる方法は。
「検査薬のあるものはできます。代表的なものは、牛乳、大豆、たまご、エビ、カニなどですね。アレルギーではと思う物質に対しては調べられる種類があり、血液検査でわかります。ただ排気ガスや、黄砂に混じっている化学物質などは特定できません」
■よく効く麻黄附子細辛湯、小青龍湯など
—アレルギーでよく使われる漢方薬は。
「麻黄附子細辛湯、これは冷えがきつく、透明の鼻水、くしゃみが出やすい時によく使われます。それから小青龍湯、これは麻黄附子細辛湯を処方するより元気な人、または、お子さんだったり、ちょっと喘息ぽく、咳がでる、鼻水も出る、という方に処方します。鼻閉などには辛夷清肺湯、荊芥連翹湯もよく使われます。他にもアレルギーに効く漢方薬はたくさんあります」
■睡眠時間はキッチリ取る
—アレルギーにならないためには、どうすれば。
「まず、体を一番いい状態に保てる力を養っておくことです。常に正気(生態が正しく活動できるエネルギー)を保つということです。そして季節に応じた食事を心がけてください。夏なら適度な水分を摂ることで身体に余分な熱を残さない。夏といっても水分摂取が過剰になると秋、冬まで残り冷え、鼻水の原因になります。
冬なら内臓、体内を温かく保ち、エネルギーを保つ、食事は根菜類など冬の食材を使ったものを食べることが大切です。
それから、睡眠時間はキッチリと取り、疲れをとることです。1日1日睡眠をしっかりとれる人はいいけれど、そうでない人は1週間単位で、1ヶ月単位で疲れをシッカリとり、どこかでリセットする必要があります。
3度の食事と、疲れのリセット、睡眠時間、それが柱となった生活を送っておられれば、アレルギーもそんなひどい状態にはならないと思います」
■成人してからアレルギーに
—成人してからアレルギーになる人もいますか。
「大人になってから"今までなんともなかったのに・・・"と言って来られる方もおられます。"忘年会でカニ鍋を食べて、帰りの電車の中で急に息苦しくなった"という方もおられました。繰り返す恐れもあるので、すぐに飲めるような飲み薬をお渡しましたが」
■漢方への期待感が非常に大きい
—最近は、アレルギーで来院される方が多い?
「多いですね。やはり西洋医学の内科、耳鼻科、皮膚科では抗アレルギー剤で抑える対症療法が中心になります。けれども、漢方医学の場合は"もともと水代謝の悪い人だからアレルギー性鼻炎でも鼻水が多い"など、一歩踏み込んで体全体を診ながら治療しますので"体質改善すればよくなる"と思っていただけて、漢方に対する期待感が非常に大きいことを実感します」