古代中国医学では、身体の機能を考える時"氣"の概念を最重要に考えています。残念ながら西洋医学にこの"氣"の概念はありません。しかし、元気な時、疲れたと時、爽やかな時、眠たい時など自分自身の身体からみなぎるパワーの変化を確かな感覚として感じるはずです。"氣"は生体内をくまなく流れ各臓腑の機能や血流を絶えず維持し、体表においては発汗や体温の調節を行っています。生まれた時から身体はあたたかく、呼吸をし、すべての臓腑が機能しているのは両親からの"先天の氣"(腎氣)をもらっているからです。生まれてからは腎氣に加え呼吸(肺)と食べること(胃腸)で自分の力で生命を維持します。腎・肺・胃腸でつくられる"氣のもと"が合わさり"原氣=元氣"になります。"氣"に米という漢字を使うのは米などの食物から得られる"水穀の氣"を表しています。
氣には体表を防衛する"衛氣"と血液の流れを司る"営氣"があり、中国最古の医学書『黄帝内経』には「衛氣は皮・肌・肉・腠理を温め潤し体表の防衛をおこなうのみならず五臓六腑も潤沢にす。営氣は脈中を流れる。」とあります。元氣をうまく作ることで風邪などの外邪から身を守ること、一日のリズムをとり正しい睡眠を得ることなどが可能であると考えられています。特別なことではなく、元氣のもとは自分自身に備わっていると実感し生活することで少しずつ身体も心も変化するのではないでしょうか。