現代医学のような神経や血管、ホルモンや免疫などの概念がなかった古代中国医学で、人体が活動、代謝、思考などをするための気血栄衛の作用運行通路として考え出されたものが経絡です。
経絡は陰陽に分類され、陰は太陰・少陰・厥陰の三陰に、陽は太陽・陽明・少陽の三陽に分けられます。これらが手足に分布しているため、(三陰+三陽)×2(手足)で計十二経絡となります。そして絡は経脈と経脈を連絡するものや、十二経脈以外の細い経脈を表します。
十二経絡は腹部(中焦)からおこり、胸→手→顔→足→胸と順に巡るように流れています。そして経穴(ツボ)は五臓六腑の気が体表の特定の場所に流注している所とされています。東洋医学では、五臓六腑は解剖学的な臓腑だけでなく精神作用にも関与していると考えており、怒りや悲しみなど感情が過度になった場合も五臓六腑の働きの変化と共に経穴(ツボ)に反応がでることは日常の診療でよくみられます。つまり、経絡は臓腑と体表を結ぶルートなのです。また、経穴・経絡が冷えなど邪気を感受すると、経絡を通じて体内に伝わり、内臓に異変を生じることにもなります。これを利用し経穴を鍼灸治療や病変の診断などに役立てています。
当財団で行っている鍼灸治療は経絡治療でもありますし、《鄧伝八段錦》や《足助體操》は経絡・臓腑の気血の流れを整えるように構成されています。是非一度ご自身で気の流れを体感してください。身体の声を聴く良い機会になることでしょう。